SMAとそのしくみ

概観: 

SMAとは「Special Memorandum Account」のことです。この口座に保有されるのは株式や現金ではなく、Reg. Tの信用取引口座にある有価証券の時価が上昇したときに発生する信用枠を指します。SMAの目的は含み益による次の買い付けのために買付力を維持することにあります。これができない場合には次の買付の際に余剰の株式を取りくずして資金化することになるため、SMAは安定した口座価値を維持し、不必要な資金調達取引を最小限に抑えるのに役立ちます。

有価証券の価値が上昇するとSMAも上昇しますが、 有価証券の価値が下がる場合でもSMAが下がることはありません。SMAが減少するのは有価証券を購入したり現金を引き出す場合のみであり、SMAの使用に関する唯一の制限は、追加の購入や引出しによって口座が維持証拠金額の要件を下回らないことになります。SMAを増加させる取引には、現金預金、受取利息、または受取配当金(1ドル単位)、有価証券の売却(純収入の50%)などがあります。注意すべき点は、SMA残高は過去の記帳項目をすべてを集計したものであり、口座開設時からの残高に影響を与えるということです。長期間分の大量のエントリーが含まれているため、日々のアクティビティステートメントから現在のSMAのレベルを計算し確認することは、可能ではあるものの現実的には困難です。 

SMAがどのように機能するか、例を使って考えてみます。ある口座保有者が$5,000を入金し、ローンバリューが50%の有価証券を$10,000購入したと仮定します(または必要証拠金が1-ローンバリュー、または50%に等しいとします)。この場合、口座開設前と開設後の値は以下のようになります:

項目
詳細
イベント1 - 初回入金
イベント2 - 株式購入
A.
キャッシュ
$5,000
($5,000)
B.
ロング株式市場価格
$0
$10,000
C.
流動性総資産/EWL* (A + B)
$5,000
$5,000
D.
委託証拠金(B * 50%)
$0
$5,000
E
委託証拠金余力(C - D)
$5,000
$0
F.
SMA
$5,000
$0
G.
購買力
$10,000
$0

次に、買い持ち銘柄の価値が$12,000に上昇したとします。この$2,000の市場価格の上昇により、$1,000のSMAが発生し、口座保有者は次のうちのいずれかが可能となります: 1)追加の資金を預けることなく、50%の証拠金率を想定して$2,000の価値のある有価証券を追加で購入する。または、2)現金で$1,000を引出す(口座に現金がない場合には、借方の残高を増やすことで資金を調達することができます)。以下をご覧ください:

項目
詳細
イベント2 – 株式購入
イベント3 - 株価上昇
A.
キャッシュ
($5,000)
($5,000)
B.
ロング株式市場価格
$10,000
$12,000
C.
流動性総資産/EWL* (A + B)
$5,000
$7,000
D.
委託証拠金(B * 50%)
$5,000
$6,000
E
委託証拠金余力(C - D)
$0
$1,000
F.
SMA
$0
$1,000
G.
購買力
$0
$2,000

*EWLは貸付金額を含む資産価値のことであり、この例では流動性資産を指します。

SMAはReg. Tに基づく考え方です。IB LLCの証券口座がオーバーナイトの必要証拠金を遵守していることを確認するために使用されるものであり、日中やオーバーナイトの維持証拠金に対する遵守の確認をするためには使用されません。また、コモディティ口座の証拠金遵守の確認に使用されることもありません。同様に、オーバーナイトつまりReg. T必要証拠金が必要となる時間(米国東部標準時15:50)にSMAがマイナスである口座は、Reg. T必要証拠金遵守のため、ポジションの強制決済の対象となります。