IBでは、外国為替取引を中心としたトレーダーだけでなく、複数の通貨建ての株式やデリバティブ取引から外国為替取引を行うトレーダーも対象として取引場所や取引プラットフォームを提供しています。以下の記事では、TWSプラットフォームでのFX注文入力の基本と、クオートの慣習やポジション(取引後)の報告に関する注意点について説明します。
FX(外国為替)取引では、ある通貨の購入と別の通貨の売却を同時に行いますが、その組み合わせは一般的にクロスペアと呼ばれています。 以下の例では、EUR.USDのクロスペアをもとに説明します。クロスペアの第1通貨(EUR)を売却する取引通貨とし、第2通貨を決済通貨としています。
通貨ペアとは外国為替市場において、ある通貨単位の価値を別の通貨単位で表示するためのものです。別の通貨単位で価格を表示される元の通貨を基準通貨=取引通貨、一方で価格表示をする通貨をクオート通貨=決済通貨と呼びます。TWSでは、各通貨ペアに対して1つのティッカーシンボルとなります。FXTraderを使用すると、通貨ペアを逆にして、その価格を表示することもできます。トレーダーは基準通貨を売り、クオート通貨を買うことで通貨ペアの取引を行います。例えば、EUR/USDの通貨ペアのティッカーシンボルは次のようになります:
EUR.USD
となります。
上記の通貨ペアの価格は、現在1ユーロ(基準通貨=取引通貨)が何米ドル(クオート通貨=決済通貨)になるのかを表しています。つまり、1ユーロの価格を米ドルで表示しているのです。
EUR.USDの買い注文は、表示されている取引価格に基づいてユーロを買い、そのユーロに相当する米ドルを売ることになります。
注意事項
IDEALFXにおける最低発注量(通常25,000米ドル)を超える注文は、IDEALFXにおいてインターバンクの外国為替市場に直接アクセスすることができます。IDEALFXに発注された注文のうち最低発注量を満たさないものは、主に外国為替取引用の少額注文取引所に自動的に振り分けられます。IDEALFXの最小・最大取引量に関する詳細は こちらをご覧ください。
外国為替取引において為替ディーラーが通貨ペアを表示する方法は決まっており、 例えば、通貨にCAD(カナダドル)を選択した場合、 決済通貨を選択する選択肢上にUSD(米ドル)が表示されないことがわかります。 これは、このペアが「USD.CAD」の順番で表示することが決まっており、基準通貨となる「USD」を入力してから「Forex」を選択しないとCADとUSDの通貨ペアにアクセスできないためです。
表示されているヘッダーに応じて、通貨ペアは次のように表示されます。
「コントラクト」と「詳細」のコラムには、取引通貨と決済通貨の形式で通貨ペアが表示されます(例: EUR.USD)。 「銘柄」のコラムには、取引通貨のみが表示されます。
表示されているヘッダーを変更する方法は、こちらをご覧ください。
1. 注文の発注にはBID=買気配(売り注文の作成のため)またはASK=売気配(買い注文の作成のため)を左クリックします。
2. 買い、または売りたい取引通貨(=基準通貨)の数量を指定します。注文の数量は、基準通貨=取引通貨で表されます。これはTWSで表示される通貨ペアの第1通貨です。
インタラクティブ・ブローカーズでは外国為替取引において、一定の決まった取引量を基準通貨(=取引通貨)で表す「コントラクト」という概念はなく、取引サイズは基準通貨(=取引通貨)における最小取引単位以上(例:ユーロの場合は1ユーロ)からとなります。
例えば、100,000 EUR.USDの買い注文は、表示されている為替レートに基づいて、100,000 EURを買い、同等の米ドルを売ることになります。
3. ご希望の注文タイプと為替レート(価格)を指定し、注文を発注します。
注意事項: 注文は全ての通貨の最小取引単位から行うことができ、上述のIDEALFX最低発注量の他に最小コントラクトや最小ロットサイズを考慮する必要はありません。
よくあるご質問: FXTraderではどのように注文を発注するのですか?
ピップ値とは、通貨ペアの変化を表す尺度で、ほとんどの通貨ペアでは最小の変化を表します。通貨ペアの中には、少数ピップでの表示が可能なものもあります。
例えば、EUR.USDでは1ピップは0.0001、USD.JPYでは1ピップは0.01となります。
1ピップの値をクオート通貨単位で計算するには、以下の式を適用します。
(取引金額)x (1ピップ)
例:
1ピップの価値 = 100’000 x 0.0001= 10 USD
1ピップの価値 = 100’000 x (0.01)= 1000円
基準通貨単位で1ピップの価値の計算するには、以下の式を適用します。
(取引金額)x (1ピップ/為替レート)
例:
1ピップの価値 = 100’000 x (0.0001/1.3884)= 7.20ユーロ
1ピップの価値 = 100’000 x (0.01/101.63)= 9.84 USD
FXポジション情報はIBにおける取引の重要な側面であり、ライブ口座での取引を実行する前に理解しておく必要があります。 IBの取引ソフトウェアはFXポジションを2つの異なる場所に反映させ、その両方を口座ウィンドウから確認することができます。
口座ウィンドウの「市場価格」のセクションには、通貨ペアではなく個々の通貨単位で、リアルタイムの通貨ポジションが反映されます。
口座ウィンドウの「市場価格」のセクションは、トレーダーがリアルタイムに反映されたFXポジション情報を見ることができる唯一の場所です。 複数の通貨をFXの通貨ポジションとして保有する場合、ポジションを建てた時と同じ通貨ペアで決済する必要はありません。 例えばEUR.USDの買い(EURの買い、USDの売り)とUSD.JPYの買い(USDの買い、JPYの売い)を行ったトレーダーは、EUR.JPYの取引(EURの売り、JPYの買い)でポジションを決済することができます。
注意事項
「市場価格」のセクションは拡張/縮小が可能です。 流動性資産価値のコラムのすぐ上に、緑色のマイナスの記号が表示されていることをご確認ください。 緑色のプラス記号が表示されている場合には、一部の保有ポジションが表示されていない可能性があります。
決済したい通貨を右クリックして「選択した通貨残高を口座通貨の残高へ両替」または「基準通貨以外の全ポジションのクローズ」を選択することで、「市場価格」のセクションから決済取引を行うことができます。
口座ウィンドウのFXポートフォリオのセクションでは、仮想ポジションを表示し、市場価格のセクションのよう個々の通貨ではなく、通貨ペアで表示されます。 この特別な表示方法は機関投資家のFXトレーダーに共通する習慣に合わせたもので、個人やFX取引を頻繁に行わないのトレーダーを対象とするものではありません。FXポートフォリオのポジション表示はすべてのFX取引を反映しているわけではありませんが、ここに表示されるポジション数と平均コストは変更することができます。 実際に取引を行うことなくポジション数と平均コストの情報を変更できるこの機能は、基準通貨に加えて非基軸通貨建ての商品の取引にも携わるトレーダーに向いています。 この機能を利用することにより、基準通貨建て以外の商品を取引する際に自動的に発生する通貨変換の係る取引を、明らかなFX取引と手動で分けて管理することができます。
FXポートフォリオのセクションには、他のすべての取引ウィンドウに表示されるFXポジションと損益情報が表示されます。 このため、実際のリアルタイムのポジション情報を判断するにあたって混乱が生じる傾向があります。 混乱を軽減また解消するため、下記の作業のいずれかを行っていただくことをお薦めします。
「FXポートフォリオ」の左側にある矢印をクリックすると、FXポートフォリオのセクションを折りたたむことができます。 このセクションを折りたたむと、すべての取引ページにFXのバーチャルポジションの情報が表示されなくなります。(注意事項: FXポートフォリオの情報のみ表示されなくなり、市場価値の情報は表示されます。)
口座ウィンドウのFXポートフォリオのセクションを右クリックすると、ポジションまたは平均価格を調整するオプションがあります。 非基準通貨によるポジションをすべて決済し、市場価格のセクションでも決済が確認できたら、ポジションおよび平均価格の欄を0にリセットすることができます。 この調整を行うことにより、FXポートフォリオのセクションに反映されるポジション数がリセットされ、画面上でより正確なポジションと損益情報を見ることができるようになります。注意事項: この作業は手動になるため、通貨ポジションが決済されるたびに行う必要があります。 ポジションに関する情報は常に市場価格のセクションからご確認の上、発注された注文のポジションがご希望通りに建ち、また決済されていることをご確認ください。
上記の内容をご参考にしていただき、ライブ口座でお取引を始める前にペーパー取引口座、またはデモ口座でFX取に慣れていただくことをお薦め致します。 上記の内容についてご不明な点などございましたら、お気軽にIBまでお問い合わせください。