空売りに伴う運用リスク

金利に伴うリスク

空売りを行うにあたり、当社では、お客様の取引を決済するため決済日にお客様に貸出できる株式がある、または決済日かその前にお客様に代わって株式の借入ができると予想できることが必要になります。トレーダー・ワークステーションは利用可能な株数、借入費用およびリベートをリアルタイムで表示します。料金は目安であり、需要と供給、またその他の市場状況によって日中に変更されることがあります。場合によっては、これまで借入困難銘柄手数料が発生していなかった「一般的な担保名」が特別なものとなり、この結果、ショートポジションの保有者に借入困難銘柄手数料が発生することがあります。
 
取引日と決済日の差異
 
インタラクティブ・ブローカーズの証券貸付デスクではお客様の空売り注文が執行される前に、買い手に対する売り手の引渡義務を履行するために必要となる株式を探し、その日の指標レートをTWSに表示します。
 
しかしながらブローカーは通常、取引日の2営業日後(T+2)である決済日(買い手への引渡しを行う日)まで、証券を借入しません。このため、空売りの執行と決済日の間の2日間に、レートが上がるリスクがあります。株式の借入が実際に行われた日が決済日となるために決済日のレートが適用され、借入困難銘柄手数料が予想に反して発生する可能性があります。
 
コーポレートアクション
 
合併、公開買付、分配などの特定のコーポレートアクション(これに限らず)は、借入困難銘柄手数料の増加につながる可能性があります。
 
配当の発表により供給が減り、基準日までに借入困難銘柄手数料が上がるということは頻繁に起こります。企業が株主に対して配当を行う場合、その時点の株式の借り手が株主としてリストされるため、配当を受取ることになります。配当はこの後、貸し手が借り手に「請求」し、配当金相当額、または「PIL」として貸し手に入金されます。米国国税庁(IRS)ではPILを適格な配当とはみなさないため、貸し手はPILを受取った結果、適格とされる配当と比較して不利な税金を課される可能性があります。これを回避するために貸し手が株式をリコールすることにより市場全体の貸し株数が減り、レートが急騰するということがあります。
 
ショートポジションの保有者は、配当(定期的な現金、特別な現金、株式)、ライツ/ワラント、スピンオフを含め(これに限らず)、企業による分配に関してロングポジションの保有者に対する責任を負います。これは、配当落ち日前日の取引時間終了時にショートポジションを保有している場合、多額の支払義務が発生する(または、経済的なエクスポージャーを追加で負うこと)可能性があることを意味します。
 
上場停止および取引停止
 
企業が上場廃止になった場合や、上場取引所によってその株式の取引が停止された場合には株式が取引されなくなるため、トレーダーはショートポジションをカバーできなくなる可能性がありますが、借り手に対する元のローンはまだ記録されています。このため株式が取消され、DTCが参加者の口座から株式のすべてのポジションを削除するか、取引停止の場合には停止が解除された後にのみ、決済することができます。この手続きには数日から数か月、あるいはそれ以上かかることがあり、企業が第7章の破産手続きに携わっている場合は特に時間がかかることがあります。
 
借り手にはこの間、最終取引日の終値に基づく担保時価に対し、借入困難銘柄手数料を引続き支払う必要が発生することがあります。最低マークは1株あたり$1ですが、上場廃止や取引停止がいつどのように発生したかに応じてそれ以上になる可能性があります。
 
強制決済およびサードパーティによるリコール
 
特定の状況においてはポジション保有者の指示なしに、ショートポジションをカバーできることがあります。IBKRでは規制上の義務の範囲内において可能な限り、買付を回避するよう努めます。詳細は、「空売り株の買付および売出に関する概要」をご参照ください。
 
レバレッジ型ETFおよびETN
 
レバレッジ型上場投資信託(ETF)および上場投資信託証券(ETN)には、売出およびリコールの発生が高いという特性があります。借入可能な株式の供給は、普通株式にはない多くの要因に影響されます。要因の概要は、「ETN & レバレッジ型ETFの空売りに伴う特別なリスク」をご参照ください。
 
オプションによって発生するショートポジション

ショートコールオプションの保有者は、満期前に割当することができます。オプションのロングポジション保有者が早期権利行使をリクエストする場合、OCC(Options Clearing Corporation)は、メンバー(インタラクティブ・ブローカーズを含める)に対し無作為に割当を行います。OCCはロングコールの権利行使当日(T)、米国市場の取引時間後に割当の報告を行います。このためオプションの権利行使は、営業日(T+1)にお客様の口座に反映され、T+2に決済されます。割当によってT日に原資産株が売却されるため、事前にこれを保有していない場合には、ショートポジションとなる可能性があります。決済済みのショートポジションの保有者は、高額になる可能性のある借入手数料の対象となります。さらに、決済日に証券貸付の在庫が不足し、当社にて空売りの引渡義務を履行できない場合、ショートポジションは売出のための買付の対象となることがあります。

上記のT+2決済の仕組みにより、T+1にポジションをカバーするために購入を行う場合、株式のショートポジションを最低1晩(週末や祝日が入る場合にはそれ以上)、口座に発生させることになります。

ロングのイン・ザ・マネー・プットは、満期日に自動的に権利行使されます。この結果となるショートポジションには、割当されたショートコールと同様のリスクが伴います。
 
例:
 
原資産のXYZ株を保有せずにXYZコール100枚を割当てる場合
 
  空売り カバーのための購入 決済済みショートポジション 借入手数料
月曜 市場取引時間後にOCCよりIBKRへショートコール割当の報告 XYZ株-100
取引日 (T)
  変化なし なし
火曜 コールの割当と株式の売却がお客様のIBKR口座に反映 T+1 XYZ株+100
取引日 (T)
 
変化なし なし
水曜   T+2 決済日 T+1 -100 あり
木曜     T+2 決済日 変化なし なし